ムム

自分が無知なのを忘れないための備忘録

撚れた弦

ガット弦を買いました。羊や牛の腸を撚ったものなので、焼けば多分食べられる。

今年の3月にライオン頭の装飾が施された古楽器を買ってガシガシ弾いているのですが、やはりガット弦が貼られることを想定した楽器だけあってパズルのピースが嵌るように相性が良いものです。そもそもバイオリンの弦の主流がガット弦から別の素材のスチールだとかナイロンになったのはここ50年くらいで、それまでの音楽はガット弦を想定して書かれてるはずなんです。同じ観点で楽器の底面につける肩当てが登場したのもここ数十年で、著名な演奏家の白黒の動画を見ればほとんど誰も肩当はつけてないのです。

結局僕は1700年に作られた楽器に肩当をつけず、ガット弦を張って弾くという時代を一周遅れた弾き方をしています。

ガット弦、古楽器、肩当無しというのは、果たして廃れるべき伝統か、いまだ力を持った普遍性か、それとも新しい前衛でしょうか。あれこれ考えるために作ったブログとはいえ、いつも思うことは、何も考えずに与えられた楽譜をその通りに弾くような、伝統や習慣に一切疑問を抱かずにひたすら従う生き方ができたら、今ほどくだらないことを考えたり迷ったりしなくて済むんだろうな、ということです。考えるという行為は不可逆的です。